当院におけるHbA1c値
2019年4月の開院以来、通院を頂き、血糖管理が改善される方が多かったです。
しかし、冬以降は季節的な影響もあり、血糖値が悪くなる方もみられています。
今後も当院では、生活習慣の調整をサポートしていきます。
当院に通院されている患者さんのHbA1c値(%)【平均】の推移

当院における栄養指導実施後のHbA1c値(%)【平均】の推移
薬物療法の調整や糖尿病専門看護師による療養指導も血糖値改善には影響していますが、食事療法順守による改善効果を明らかに認めています。

糖尿病内科について
糖尿病内科とは糖尿病と主にその合併症(糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、大血管症など)について診断や検査、治療を行う診療科目です。
当院では糖尿病専門医がその経験を活かし、患者さん個々に対し適切な医療のご提供を行っております。
糖尿病は大別すると1型糖尿病、2型糖尿病とに分けられますが、その他、薬剤や膵臓由来などによって発症した糖尿病なども含めた糖尿病全般の治療をおこなっております。
また、当院ではCGM・FGM(持続血糖測定装器)を導入しております。装着することによって、日々の血糖値の変化(血糖値スパイクなど)が確認でき、ご自身の治療方針の調整に役立てることもできます。

1~2週間装着し、血糖値の変動を確認できます


糖尿病とは
体の細胞は、血液中に含まれるブドウ糖(人体にとって欠かせないエネルギー源)を、膵臓から分泌されるインスリンによって血液中から細胞内に取り込み利用しています。インスリンの分泌が悪くなったり、インスリンの効きが悪くなったりすると、ブドウ糖が細胞内に取り込まれず、血液中にあふれ、高血糖となります。その状態が糖尿病です。
血糖値が高すぎると、のどが渇く、尿が多い、感染症にかかりやすい、傷が治りにくい、集中力の低下、疲労感といった様々な症状が現れます。また、高血糖の状態が長く続くと、いろいろな合併症やそのほかの病気になったり、重度の場合は昏睡状態(糖尿病ケトアシドーシス)に陥り生命に危険がおよんだりすることもあります。
糖尿病の分類
糖尿病は、1型糖尿病と2型糖尿病に大別されます。
1型糖尿病
自己免疫の異常により、インスリンを合成・分泌する膵臓のランゲルハンス島のβ細胞が壊され、膵臓からインスリンがほとんど分泌されなくなる病気です。また、HLA(人の免疫に関わる因子)などの遺伝因子に何らかの誘因・環境因子が加わって発症することもあります。1型糖尿病は発症や進行の経過によって以下の3つに分けられます。
緩徐進行1型糖尿病(膵島関連自己抗体100%陽性)
急性発症1型糖尿病(膵島関連自己抗体90-95%陽性)
劇症1型糖尿病(膵島関連自己抗体陰性)
膵臓からインスリンが分泌できなくなるので、治療はインスリン補充療法が中心となります。
2型糖尿病
インスリン分泌低下や、インスリンの働きを邪魔する物質の増加(インスリン抵抗性)によって、インスリン作用が低下し高血糖になるのが2型糖尿病です。肥満との関連が強く、過食、運動不足、不規則な生活習慣(ストレス)から糖尿病を発症する患者さんが年々増加しています。2型糖尿病の治療は食事療法、運動療法に薬物療法を組み合わせて行っていきます。
日本の統計上では2000万人が「糖尿病」または「糖尿病予備群(境界型)」と言われています。2008年から始まった特定健康診査(メタボ健診)をきっかけに生活習慣を改善することによって糖尿病予備軍は減少しており、日常生活をふり返り、改善することで2型糖尿病は予防することもできます。
糖尿病による合併症
糖尿病の血糖コントロールが悪く高血糖が続くことで、別の病気を発症することがあります。これを糖尿病合併症と言います。
高血糖とはそもそも「血液の中の糖が高い状態」であり、その悪影響は血管にあらわれてきます。高血糖が続くと、血管の内側にプラークという物質がたまり内腔が狭くなってきます。主な合併症は細い動脈が障害されて起きる「細小血管症」と太い動脈が障害されて起きる「大血管症」の2つに分けられます。
細小血管症(糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症)は合併症の中でもゆっくり進み、自覚症状に乏しく、進行してしまうと改善が困難です。大血管症(脳梗塞、心筋梗塞)はある日、突然発症し、重篤な後遺症が残る場合があり、どちらの合併症も注意が必要です。
糖尿病性神経障害
糖尿病によって、神経に栄養を運んでいる細い血管の血流が悪くなると、末梢神経障害が起きます。糖尿病による合併症の中でも、比較的早期に見られ、主な症状としては両手足のしびれや痛み、感覚鈍麻から擦り傷や刺し傷などに気がつかないこともあります。手足の知覚が鈍くなることが原因で熱さを感じにくく、火傷を負ったり、傷に気が付かず、その結果、感染が重症化したりすることもあるので十分な注意が必要です。この場合、ご自身の足に傷がないかどうかフットケアをするなど、日常の手入れの方法を相談していくことも大切になってきます。
他にも、こむら返りや、便通異常、発汗異常、立ち眩みなど、さまざまな自律神経障害の症状もあらわれます。
糖尿病性網膜症
網膜(眼の奥にある光を感じる場所)の細い血管が障害されることで糖尿病性網膜症が起きます。点状の小さい出血が起こり、その出血が増えると、徐々に視力が低下します。進行すると失明の危険も伴います。
糖尿病性網膜症は、国内でも失明原因の上位に位置し、早期に発見し、適切な治療を行うことがとても重要です。
糖尿病性腎症
高血糖によって、腎臓の糸球体(毛細血管の集まり)が障害され、腎臓のろ過機能が低下してしまうのが、糖尿病性腎症です。進行すると腎不全となり、体内で生じた老廃物(尿毒素)が排出できなくなってしまい、体調不良を起こします。最終的な治療は血液透析によって尿毒素を体内から人工的に取り除かなければならず、日常生活に大きな制限を伴います。
脳梗塞
脳に血液を運ぶ動脈にプラークや血栓が詰まり、血流が途絶えることで脳細胞が壊死していきます。障害される場所や広さによって麻痺などの神経症状が異なり、広範囲では寝たきりになることもあります。突然、寝たきりとなり、ご自身のライフプランが崩れることもある病気です。定期的に検査(脳へつながる頸動脈のエコーなど)をすることで予防やリスクの早期発見に役立てることができます。
心筋梗塞
心臓に酸素や栄養を運ぶ冠動脈が、高血糖により動脈硬化で狭くなり、そこに血栓が詰まることで発症します。心筋細胞の壊死が広範囲になると心臓のポンプ機能低下(心不全)や致死性不整脈が起こり致命傷になることがあります。カテーテル治療などで、一刻も早く血流を再開させる必要があります。冷や汗を伴うような胸部への強い痛み、圧迫感を自覚しますが、糖尿病性神経障害も進んでいると、痛みを伴わない無痛性心筋梗塞になる場合があります。糖尿病があると発症のリスクが高くなるので、定期的な心電図、心臓超音波検査が大切です。
糖尿病の検査・治療
糖尿病治療は主に食事療法と運動療法が基本です。しかし、血糖値のコントロールが難しい場合には適切な検査を行いながら薬物療法を併用します。
糖尿病治療を考えるうえで重要なのは、膵臓からインスリンを分泌できる力がどのくらい残っているかを知ることです。当院では75gOGTT(75g経口ブドウ糖負荷試験)や食事負荷試験(MTT)にてインスリン分泌能力を確認することができます。そして、インスリン分泌能力に応じた薬物療法の選択をしていきます。
また、CGM・FGM(持続血糖測定装器)では、HbA1cや空腹時血糖値だけではわからない血糖値の変動をチェックでき、予期せぬ高血糖や無自覚低血糖の有無を把握して、適切な治療調整や生活習慣のアドバイスを行うことが可能です。
CGM・FGM(持続血糖測定器)
腹部や腕の表面に500円玉くらいのセンサーを貼り付け、持続的に血糖値を測定する検査です。装着は非常に簡単で、1週間から2週間のご自分の血糖変動を確認できます。食後の血糖上昇、予期せぬ低血糖(血糖値スパイク)などがわかります。治療内容の調整にも有益な情報が得られますし、血糖値を見える化することで、治療に対する意識が高まるという効果もあります。

食事療法
食事療法は、適正なエネルギー量を適正な栄養バランスで摂取し、血糖値の上昇を防ぐ治療法です。しかし、現代人は忙しく、さらにいろいろな食べ物、情報もあふれており、このバランスをとるのが実は一番難しいといえます。一般的には、常習化している間食や外食、アルコールのとり過ぎによって、1日に必要とされるエネルギー量が過多になるケースがあります。
当院では管理栄養士が常駐しております。患者さんが毎日食べているものを一緒にふり返り、問題点をみつけ、改善していけるように、食事療法プランを提案いたします。
運動療法
食事療法とともに、糖尿病治療において大切な治療法です。運動をすることによって、血糖値が低下し、インスリン抵抗性が改善すると言われています。運動を継続することで、筋肉量を維持、増加させ、基礎代謝も上がり肥満になりにくい体質になります。ただし、合併症がある場合や薬剤で治療している場合は運動が制限されることもありますので、運動の内容や時間など、どの様な形が望ましいかはご相談の上で決めていきましょう。
薬物療法
糖尿病の内服薬は多岐にわたり、インスリン、インクレチン関連薬も含めると選択肢はさらに増えます。
高血糖になる原因は大きく2つに分けられます。インスリン分泌不全(インスリン分泌が少ない、インスリン分泌が遅い)もしくはインスリン抵抗性(インスリンは分泌されているが効きづらい)です。当院では前述した糖負荷試験で膵臓の機能を確認することで2つの病態を把握できます。
インスリン分泌不全の場合、膵臓からのインスリン分泌能力が低下しているので、膵臓を刺激してインスリン分泌を増やす働きの内服薬を選択します。膵臓の機能低下が著しい場合はインスリン注射も検討します。
インスリン抵抗性の場合は肥満からくることが多いため、減量指導を最初に行いますが、それでも改善がない場合は、インスリン抵抗性改善薬を選択します。内服薬が1剤で管理できない場合は、複数の内服薬を併用しますが、多剤による治療は副作用のリスクも上がるので、当院では生活習慣指導も含めてなるべくシンプルな治療を組み立てるように心がけます。
糖尿病とうまく付き合うために
糖尿病は、例えれば、血糖値が上がりやすい体質になってしまったということです。そのため、普段の食事、生活習慣のちょっとした乱れや運動量の低下が血糖管理不良につながってしまいます。人間なので、常に規則正しい生活を送ることは大変です。いかに治療ペースを乱さず、血糖値が上がらないようにコントロールするかが大切です。当院では、それぞれの患者さんのお考えや、生活背景、病状に合わせて、多職種が協力して治療プランを提案できるように努めていきます。一緒に糖尿病治療を続けていきましょう。


- 診療科目
- 糖尿病内科 腎臓内科
- 所在地
- 〒332-0015
埼玉県川口市川口2丁目8-19 伊東ビル 3F - アクセス
- JR京浜東北線「川口」駅西口徒歩4分
- TEL
- 048-251-5050
- 休診日
- 木曜、第2、第4土曜、日曜・祝日
診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日祝 |
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14:00~17:00 | ー | ー | ー |
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